第二章 意識のテクノロジー 13
クレアオーディエンス 超聴覚
clairaudience
聞こえるはずのない声が聞こえたり、どこからも音が流れていないのに、突然に音楽が聞こえてきたり、 近くにいない人の話し声が聞こえてきたりするという、聴覚に関する【受信】能力です。
わたし達の両耳の奥には〈鼓膜〉が存在します。鼓膜が振動して音を取り込むわけですが、超聴覚はこの〈鼓膜〉が通常の範囲以外の周波数を捉え始めるときに現れます。
感覚機能が集中している頭部の中では、脳水に浮かんでいる〈脳〉そのものが振動する以外では、両耳の〈鼓膜〉だけが、振動膜を持っています。
膜を振動させて音を受信する〈鼓膜〉の受信域を変化させることによって、今まで聞こえなかった音域、または周波域の〈音〉が聞こえるようになるわけです。
その他にも、脳裏の中でハッキリと音として誰かの声を聞いたり、音を認識したりする場合もあります。
これらはテレパシックなコミュニケーションの領域に入りますが、この場合は鼓膜という振動膜を通さずに直接的に脳の中で音を認識するということになります。
日本では昔から、ご先祖様が枕元に立って耳元で何かを囁くという話しが伝えられています。日常生活の中でも、居間でうたた寝をしていたら、誰かが耳元で何かを囁いて目が覚めたとか、微かに誰かの声がしたと思って振り返ってみたら、そこには誰もいなかったなどという経験をしている人も結構多いでしょう。
実際には同じ場所にいない誰かが耳元で囁いたり、話したりするわけですから、目には見えない誰か、すでに亡くなっているご先祖様とか、何かの存在が同じ空間にいてコミュニケーションをしているという考え方がでぉます。
ではこのクレアオーディエンスに関係する経験を幾つか書いてみましょう。
実際に耳で聴こえる、誰かと対面して話している時のように、ハッキリと明確に声が聞こえることがあります。
ハワイ島のヒロ地区で年に一回行われるフラのオリンピックとも言われる競技会、メリーモナークフェスティバルに友人達と一緒に出かけた時のことです。
会場近くのホテルが取れなかったために、ヒロの街からかなり離れたキラウエア火山国立公園の中にあるヴォルケーノ・ハウスというホテルの裏からハレマウマウと呼ばれる火口が眺められる古いホテルに宿泊しました。
ベッドに入って眠りについたのですが、まだ朝日も昇っていない朝方になって誰かが耳元で話して私を起こしたのです。
「Wake up! Its started to come up! 起きるのよ! もう出始めているから!」と明確な声が聴こえて目を開けたのです。
その声は若い女性で、しかも英語で話してきました。眠気眼で隣のベッドを見たら、同室になった雑誌の編集者の友人はまだ眠っています。
何を見せたいのかは何となく直感的にわかっていたので、とにかくベッドから起き上がって言われるままに部屋から出て、冷え込んだホテルの廊下を歩いて火口の見える裏庭まで行きました。
肌寒くて誰もまだ起きて来ていない裏庭のベンチに一人で座って火口を眺めていたら、少しずつ朝霧が晴れ始め、その向こうにハレマウマウの火口の姿が見えだしました。
霧がほぼ消え去ってしまうと、朝日に照らされた微かな虹の姿が見えました。
また同じハワイ島のコナの街に近いフアラライ山の麓の屋敷に泊まった時も、連日して明け方の早朝に耳元で祖父が囁くのを聞きました。
耳元で囁く系は夜や明け方だけでなく、真っ昼間に起きることもあります。
お昼近くにダウンタウンのデザイン事務所に立ち寄って友人と話しをしていた時にも、明確に誰か別の人の声で、しかも英語で言葉が耳に入ってきたことがあります。
オアフ島での経験の中で頻繁に起こるのが、ドアのチャイムを鳴らす音です。
これは朝方の場合もあれば、深夜の場合、昼間の場合もあります。
寝ているか、ベッドに横になって微睡んでいる時に多いのですが、突然のように「ピンポ~ン!」けたたましくドアの呼び出しチャイムが鳴るのです。
ちょうどシアトルから友人が尋ねて来ていてリヴィングで寝ていた時にも起こり、巨大なチャイムで起こされた私は、もしかしたらルームメートが夜中に鍵を忘れて出かけたかも? と思いながらリヴィングに行くと、友人は寝ています。
私が起きて来てゴソゴソし始めたのを感じたのか、友人が眠気言葉で話してきたので「いまさっきドアのチャイムが鳴らなかった?」と聞いたら、「そんな怖いこと聞かないでよ。何にも鳴ってないけど」と言います。
友人の方がドアの近くで寝ていたのに、あれだけ大きな呼び出し音は聴こえず、私だけに聴こえていたのです。
その他にも少しオカルトちっくになりますが、ホノルルに越して来て最初に借りたアパートの寝室では、月に一度の割合で、夜になると定期的に壁からハワイ語のオリ(詠唱)が聴こえて来ました。
その度に酷い金縛りに会うので半年で引っ越ししたこともあります。
同じハワイ語のオリの経験は更に続き、カイルアの街に住む友人宅に呼ばれた時は真っ昼間だったのですが、お手洗いを借りて用を足そうとしていたら、どこからら微かなハワイ語の詠唱が聞こえてくるのです。
別に外に停まっている車の車窓から聴こえるわけでも、通り過ぎる車から聴こえてきたわけでもありませんでした。
ハワイ語のオリに関連して最も衝撃的だったのは、部屋の上の方から、ハワイ語のオリと、日本語のお経と、まるで大蛇が「シャーッツ! シャーッツ!」と舌を出しているような鳴き声が三つ同時に聴こえてきた時です。
その時は「さぁ、寝ようか」とベッドに横になって眠りに落ちるのを待っている、まだ明確に意識がある状態の時に起きました。
しかも数日間くらい空けて3回も起きたのです。
半分くらい意識が起きている状態であれば、聴こえる音や声などに驚いて、それが何処から聴こえてくるのかなど考える暇などないでしょう。
この現象にはかなり驚きましたが、何でいつもとは違ったオカルト的な経験が引き寄せられているかは何となく理解できたのです。
ちょうどその頃は、霊媒師系、霊能者系の人達との人間関係が身近だったからです。
とにかくまだ目覚めていて自分の意識が明確にあった状態だったので、音の聴こえ方を観測してみました。
しかもいつものように短めに終ってしまう音も、長めだったので良く聞き分けることができたのです。
このややおどろおどろしい三種類の音は、部屋の上空、天上の少し下くらいから聴こえてくる、またはその位置にある空間から響いているように聴こえました。
窓から外を走る車の音や雑音などが流れてきているわけではなく、部屋の空間の中に音が「出現」しているのです。
三種類ですから、その音源が全く同じ場所から同時に聴こえるのかと思ったら、三種類とも微妙に発生している箇所が違うのです。
何かの層があるように、一つひとつが微妙に違った空間から出てきていて、さらには、その三つの音の響き方は、まるで波に乗って音が届けられているかのように、微妙にヴォリュームが違うというか、響き方が違うのです。
最初はまぁまぁ聴こえるくらいの明確さが、次第にハッキリと聴こえるようになり、そして波が去っていくように少し聴こえ方が薄くなり、それが三種類のタイミングが少しズレているかのように、重なり合って続いていました。
これらの体験に似た〈ラップ音〉が部屋の隅から聞こえるというのも、この類いの現象です。
簡単な理解では、音が部屋の隅から聴こえるように捉えてしまうので、ラップ音は部屋の中で起きているように捉えがちですが、実際にはラップ音を聞いた人のいる空間のどこかで派生しているのです。
どこから音が聞こえて来るのか?
摩訶不思議を通り越し、おどろおどろした経験をするまで、どうして普通では聴こえないはずの声や音が聞こえるのという仕組みがよくわかりませんでした。
クレアオーディエンス的に捉えてきた片言の言葉や、短い音などの場合は、その音源を聞き分ける時間的な余裕がなかったからだと思います。
あまりに短い時間で経験してしまうと、その現象自体に驚いてしまうことも含めて、それを意識的になって聞き分けることができる状態ではないからです。
この経験から幾つかのことが浮かび上がってきました。
聴こえてくる音の内容に統一性はありません。
人の声だったり、お経だったり、チャイムの音だったり、鳴き声だったりという感じです。
共通するものは「音として耳で聴いている」部分です。
チャネラーという職業柄、頭の中で声を聴くことと、実際の耳を使って声を聞くことの違いはわかります。
これらの音は、耳の外から耳へと伝わってくるものです。ということは、どこかに音源がなければなりません。
例えば誰かが実際に口を使って話している、ラジオから音楽が流れている、部屋の外から入ってくる雑音などです。
しかし音源は状況の中には存在しません。
音は空間のどこかから湧いて出ている、または空間のどこかに出現しているということが考えられます。
空間の中に音が出現するということを考えてみると、全く有り得ない話しではありません。
身近な例で書いてみると、静電気が走る時に発生させるパチパチパチとした音です。
冬の乾燥している時期にナイロン製品などに触ると、時にはバシバシッ! と音がすることがあります。
これは実際には手や身体の一部がナイロン製品に触れる前、身体の電磁的な圧と、ナイロン製品の電磁的な圧の違いから生まれる、電磁的な摩擦によって空間に音が発生します。
音は通常の場合、何かと何かがぶつかった時、衝突した時に発生します。
例えば、手で床を叩いた時、波が砂浜に打ち付けられた時、金槌で釘を板に打ち付けた時などです。
物体と物体が打ち付けられる時に、そこに振動が発生して音になるわけです。
私たちがいつも耳にしているテレビやスピーカー、または携帯電話から出てくる音は、内蔵されているスピーカーを通じて再現されます。
これらの機器の場合は、スピーカーの一部であるドラム、振動を再現して音にするための膜を電気的に振動させて音を発生させるのです。
音の存在を簡単に説明してしまうと、音は振動と周波数でできているということになります。
話しは少し変わりますが、空間に何も流れていないわけではありません。ラジオやテレビなどは、放送局から流されている周波痛を受けとって、機械的に映像や音として再現します。これは、音や映像は周波数として空間の中に流れているということです。
私たち人間が耳を通じて聞こえる音の周波数の範囲は,およそ20Hz(ヘルツ)~20000Hzとされ、この範囲を超えた音域は超音波といいます。私たちの聴覚は年を経るに従って上限の周波数を捉える率が低くなってゆきます。
犬の場合は下限が40Hzで人間と然程の違いはありませんが、上限は65000Hzと三倍以上の周波数を捉えることができるので、犬は人間には聞こえない音を聞いているのです。
空間で音が派生するという内容に話しを戻しましょう。
ラップ音などのように同じ空間にいても自分以外の人はその音を聞いていないという部分があります。
ということは、ラップ音などは、個別に認識される、空間を所有している人の全てに対してではなく、聞こえる人だけに聴こえるということになります。
では同じ空間の中に3人の人がいて、その中の一人だけがラップ音を聴いたとしましょう。
これを少し外側の視点から考えてみると、まるでその人だけが別の空間に分けられている、目に見えない個室の中にいるように捉えることができます。
超聴覚で聞こえる音はオーラの中で響く
この視えない個室というアイデアから沸き上がってくるのが、私たちを包み込んでいるオーラの存在です。
後のオーラの構造の章でも書きますが、オーラは基本的には人それぞれ大きさや、幅も違えば、波動の高さ、そして密度も違います。
全ての人の状態が全く同じではなく、一人ひとりで赴きが少しずつ違うのです。それらの超嗅覚的に聴こえる音は、オーラの中で派生しているのです。
ラップ音などのように、超聴覚的に聴こえる超自然的な音は、その人のオーラの中で派生するわけですから、同じ家に住んでいても、また同じ部屋にいても他の人には聴こえなかったりするわけです。
では話しを更に進めて、五感の中の一つである、味覚に関する能力について書いてみます。