第3章 意識の構造

 

感情の本質を探し出す

第四の意識状態へ向けて三位一体を統合するポイントは、それぞれの意識の動きを明確に理解して捉え、バランス良く操縦す ること、統括することです。三つの意識を全部まとめて、第四の意識の観点から操縦するというアイデアです。

自分自身とつき合う術を学ぶ、自分自身に対する客観性を開発し、常日頃から高めてゆくことです。まずは操縦するのが難しい、感情の方面から始めてみましょう。

意識の構造がよくわかってない人は、自分の思考、そして感情を闘って抑える努力をします。自分の思考や感情が暴走する、自分では手に負えなくなる可能性があることを潜在的に知っているからです。逆に感情を抑制するというアイデアが無く、感情の乱れをすぐに現してしまう人は、感情を剥き出しにして現せば、相手が怯んだり、一歩引いたり、驚いたり、また同情してくれたり、認めてくれたり、可哀想に思ってくれる確立が高いということを潜在的に学んでいるわけです。前にも書いたように、感情の発露は、相手の注意を引く、相手の気を引くのです。

私たちは子供の頃の家庭環境の中で様々な表現の仕方を見たり、真似たりして育ちます。大多数の人達は自分の思考や感情と親しんで仲良くなり、周囲に悪影響を及ぼさない方法で解放するというアイデアを与えられていない、学んでないません。

爆発に近くなった思考と合体した感情のエネルギーを押さえ込むのが非常に難しいのは誰でも体験していると思います。まずは、それらと闘うというアイデアは手放しましょう。

自分の中でそれらの意識と闘っても、さらなる分離や隔壁を生むだけで、もっと状況が難しく発展することが多いので、そこから学びを得ることを極度に難しく感じます。爆発する前に対処するほうが楽だし、爆発に使うエネルギーを他のもっと生産的なことに使うほうが賢い選択です。

常に自分の思考や感情の動きに注意を与えていると、理性の力でネガティブな方向性を持った思考や感情が持っているエネルギーを押さえ込むことができなくなるまで溜め込む必要がなくなります。最初のステップとしては、まず自分の中にある潜在的な感情の動きの存在を認めることから始めましょう。

例えば「私の心の中には怒りがある」「私の心の中には悲しみがある」「私の心の中には満たされてない何かがある」といった感じで構いません。

自分の感情の状態を認めたら、次は「どうして?」を考えるのではなく、「どうして?」を自分自身に向けて、または相手に聞いてみましょう。

ではわかりやすい例を元にして書いてみます。

弟がお兄ちゃんからオモチャを奪われて泣いている、もしくは怒っているとしましょう。そこで母親がやって来て「一体どうしたの?」と尋ねます。すると弟は「お兄ちゃんが僕のオモチャを取ったから」と答えるのが普通です。それでは、ここで状況を少し離れた所から捉えてみましょう。

 弟はオモチャを取れられました。

 取ったのはお兄ちゃん。

 感情的になったのは「オモチャを取られた」からです。

 では本質的には一体「何が」奪われたのでしょう?

 それは「自分のものが奪われ」たということです。

 「自分のもの」というのは「何かを所有している」という意識です。

 ではオモチャを所有していることは何処に関係するのでしょ

う?

 オモチャは「楽しい」とか「幸せ」とか「面白い」という意 識の状態に関係します。

 オモチャは弟を「楽しい」とか「幸せ」とか「面白い」と感じさせてくれる道具です。

 弟は自分の「楽しい」とか「幸せ」とか「面白い」が奪われたから感情的になったのです。

 ではなぜ「楽しい」とか「幸せ」とか「面白い」オモチャが必要なのでしょう?

 それは「満足感」「充足感」「満ち足りた状態」を与えてくれるからです。

普通は「どうして」怒っているのか、「どうして」悲しいのか という理由を「考える」のですが、大抵の場合は目の前の状況に照らし合わせてしまうので、怒ったり悲しいのは誰々のせい だと対個人的になってしまいがちです。すると原因の本質から離れさせてしまいます。「怒っている」「悲しい」理由は「誰か」に結びつけられやすく、その根底を見えなくさせるので、逆に考えない方がよいのです。感情と思考は手に手を取り合って動くことが多いということです。頭で理由を探して考えると、感じるという部分が薄くなって緩和されたような感じになり、更に感情のエネルギーを高めるために、思考の力を合体させるて上乗せするように動いていきます。 乱れた感情は他の感情の波動と結びつくので、それを達成するために、ぶつける「誰か」が必要になります。単純に書いてしまうと「感情をぶつける宛先」が必要だということです。そして、この宛先を考えるのが「思考」です。

感情のエネルギーから影響を受けている思考は、潜在的にその行き先を守るために、理性をねじ曲げ、「感情の当て先」に的を絞ります。感情は当て先を確保するために、思考の方法、その機能に影響を与えるということです。感情のエネルギーを沈静化させるためには、思考の 働きを切り離した方が静まりやすいのです。

 潜在意識下で生まれる感情の多くは、認めてあげると静かになるものが殆どです。

 

思考の基準を設定する

 思考の動きも同じように客観的になって冷静な意識の状態で観察し始めましょう。その理由は、私たちの意識、そこから生まれる思考というのは、肉体の状態、感情の状態、精神の状態、そして周囲からも大きな影響を受けているからです。

 私たちの考えは身体の状態がバランスのよい時、健康な状態の時には、ポジティブで健康的な考え方に傾きます。しかし一度身体の調子が悪くなると、考え方にもぐらつきが現れ始めます。よほどのポジティブ思考の持ち主でない限り、身体のことを心配し始め、ネガティブな捉え方であれやこれやと想像の域を出ないことを考え始めるものです。これが強烈な肉体的な痛みになると、痛みの凄さに負けて考えることすらできない状態にもなりえます。また、行き詰まりを感じていたり、気力が落ちている時や、落ち込んでいる時などの精神的なコンディションが揺れている時も、考え方がネガ ティブになりがちです。更に感情に関係する場合に至っては、感情の動きに支配されるように考える性質があります。それは思考の力よりも感情の力の方が遥かに強力だからです。私たち人間の思考の動きというのは、的確な訓練を受けていないために、基本的に移ろいやすいものなのです。

 では、どうして思考の動きは移ろいやすいのでしょう?

 それは、考える方向性にしっかりとした基準、明確なマインドがセットされてないからです。自分の中に「考え方の基準」というものが明確な線で引かれていないのです。ただ単純に言われたこと、習ったことを自分の力を使って何も考えずに漠然と捉えている場合と、自分でその本質の部分まで良く考えて、どこから 何処までを良しとして線を引くかでは大きく違います。

 わかりやすい例えを使うと、本に書かれていることを丸ごと鵜呑みにして信じることと、そこに書かれていることを検証したり、自分で実験したり、分析したり、自分の経験などに照らし合わせた結果に信じるということは違うということです。

 考えの基準というアイデアに話しを戻しますが、日本人の多くの人は中間域にいることに安心感を持ちます。中間にいることでどちらにも動けるからです。また余計な対立や闘争に巻き込まれたくないという観念もあります。これを明確性の好きなアメリカ人の観点から捉えると、日本人はハッキリしない、明確にものを言わない、とてもグレーな人種という具合に映ります。

 自分の思考の動きを知るためには、その動きを測るための基準、考え方を実践するモデルが必要になります。この基準が曖昧過ぎていたり、または極端である場合はあまり役に立ちません。考え方の基準をセットするときは。できるだけポジティブな方向性や、拡大性、ユニヴァーサルな愛情などを基準にすると良いでしょう。

 例えばキリストのような考え方、ダライ・ラマのような考え方、マザー・テレサのような考え方を基本にするのす。自分が理想としている人、尊敬できる人をモデルとして使うことによって、考え方が訓練されてきます。

 多くの人は考え方が野放しで、考え自体を操縦するというアイデアがないので、様々な状況や、体調、感情、そして想念体などの影響を受けやすい状態になっています。

 後に説明する「エレメンタル(想念体)」の部分で詳しく書きますが、私たちは絶えず他の人の思考、考える力が造り出している「想念」の影響も受けています。それと同じように自分の思考は、その他の人々にも影響を与えています。

 普通の人は、自分の思考の動きや、ましてや他の人が生み出している想念から受ける影響のことなど考えもしていないでしょう。想念に対する意識の無い人達は、自分の考えている全ての考え、思考が丸ごと自分のものだと思い込んでいるのです。

 意識の進化の過程の中で思考というものを捉える時に重要なポイントは、自分自身が考えることの内容とか、その動きを、自分から少し離れたところで客観的に観察する癖を養うことです。それと同時に、自分の周囲の動きにも充分な意識を当てましょう。家族や恋人、友人達、家庭や職場、出先などの自分がいる環境も含めてです。自分の思考や感情の動きが、一体どの ようにして周囲の環境と繋がっているのかが理解できるようになれば、更に潜在意識の動き方がよく理解できるようになってきます。

 自分の思考を自分でコントロールできない不安定な状態では、力強い潜在意識や超越意識を三位一体として統合させ、第四の意識状態を成長させることは難しいのです。絶えず自分の思考の動きをモニターできる、自分が何を考えているのかに気づけるようになる訓練を行いましょう。

 

 ▶︎煩悩と満足度