第1章 エジプト紀行

 

エドフ神殿のヴィジョン

  新王国時代に建設されたエドフ神殿の歴史を遡ってみると、3100BCという最も古いエジプト王国が始まる前の時代から、旧王国時代を経て、新王国時代、そしてプトレマイオス王国時代までと、約3000もの歴史を持つ建造物だということが解りました。そして神殿基礎の名残りであるパイロンと呼ばれる巨大なゲートは現在でも残っています。

 エドフ神殿にはビルディング・テキストと呼ばれる刻印による記し書きが残され、それは二つの方向性があるそうです。その一つは建設に関する内容で、もう一つは、エドフ神殿とその他の神殿群が〈創造の島〉であるという神秘的な翻訳と、情報を残すというものです。そしてエドフ神殿の中に刻まれているホルス神とセス神の間で繰り広げられる聖なるドラマの数々です。これらのエドフ神殿に残された碑文に関する研究と解析は、ドイツのハンブルグ大学の研究チームによるエドフ・プロジェクトの中で翻訳が行われています。

 前にも書いたように1992年のエジプトへの旅は前年のペルー旅行と違い過ぎて、自分の中では釈然としない位置にありました。旅の過程のそこここで幾つかの神秘体験をしましたが、それはペルーでの天地がひっくり返るくらい衝撃的だった経験とは比べられないものでした。ペルーよりも神秘体験が起きずに進んでいったので自然の成り行きに任せるのではなく、自分から働きかけてみようと思い立ち、クルーズの最中に船内のコンパートメントで瞑想に挑戦してみました。とにかく瞑想でもすれば何かのヴィジョンでも視えるかも? と思ったのです。

  いざ個室で一人になって瞑想を始めても、ペルー旅行の時のように色んなヴィジョンが押し寄せて来たわけではありませんでした。ヴィジョンを受け取ることに固執し過ぎていたからかも知れません。かなり長い時間を費やして挑戦した結果に、一つだけ明確なヴィジョンを視ることができました。

  真っ暗闇の中に赤いマントを着た人物が現れたのです。右足を立てて跪づき、胸の前で両手を合わせている姿を横から見ていました。赤いマントの先端は地面についてその一部が盛り上がっていましたが、マントの中の様子、どんな服装をしているのかまでは視えませんでした。

 そのヴィジョンの中で最も注意を引いたのが〈頭〉でした。頭の上に、三つの丸い突起のようなものが突き出ているのです。この三つの丸い突起は、前から後ろに直線的に並んでいるのではなく、全面から後ろに向かって逆三角形をつくるように突き出ていました。何かヘルメットのようものを被っているのかと思いました。

 この不可思議なヴィジョンは自分の中で全く意味をなさず、あまりの謎なぞ的なヴィジョンだったので、ツアーリーダーをしていたニューヨーク在住のチャネラーさんに質問したくらいです。しかしチャネラーさんがチャネリングするエンティティーからの回答も自分の中で、ピンとすることも、噛み合うどころさえも全く無く、ヴィジョンを理解するどころか疑問符が大きくなるだけでした。

 その時に視た三つの丸い突起のついた頭とマントを着た人物に関する最初の謎解きのヒントを得たのは、それから約10年以上も経ち、ホノルルへ移動して、ハワイアンの文化を調べ始めた時期です。「聖なるハワイイ・ハワイアンのスッピリチュアリティー」のリサーチで、古代のハワイアンの王族が来ていたアフウラと、マヒオレに関することを調べていました。マヒオレのヴァリエーションを調べていら、エジプトで視たヴィジョンに最も近い、ヘルメットの上に三つの丸い突起のような種類が航海士のスケッチを発見したのです。そして、その時に驚きを超えた明確な気づきがやってきました。

 古代ハワイアンの叡智は絶対に何かしらの形で古代エジプトに繋がっている・・・。

 その当時に一緒に働かせていただいたハワイ大学の名誉教授で、人類学者、天文学者、インドパシフィック言語教授のアンティー・ルビライトから〝ハワイアンの精神世界は古代エジプトに関係している〟と聴かされていたので、余計に腑に落ちました。

 しかし、古代ハワイアンと古代エジプトを繋ぐ見えない絆に関する事柄は、近年になるまで辿り着きませんでした。 この時はまだ古代エジプトに関して興味があるどころか、ハワイアンの精神世界に引き込まれていた時期だったからです。この意外な展開にも驚きましたが、エジプトの謎のヴィジョンは、ハワイアンの謎と合体して、さらに不可解なヴィジョンと化してしまったのです。

  それからさらに10年以上が経ち、2011年に入って新たな領域のスピリチュアルな経験を経た中で、ナイル川のクルーズで視た、頭に三つの丸い突起をつけ、赤いマントを着た不可思議な人物のヴィジョンは、ホルスの錬金術に関係する内容だったわかりました。それら一連の経験がなければ不可解な謎のまま終わっていたでしょう。1992年から20年の後にヴィジョンの本当の意味が解るというのも不思議なものです。

 

▶︎「ルクソール神殿の秘密」へ続く