第1章 エジプト紀行 05

 

新王国時代

 古代エジプト文明が最も栄えた時期が新王国時代で、紀元前1570年頃 - 紀元前1070年頃で、約500年間に渡って続いた王国です。第18王朝の王・イアフメス1世がエジプトを再統一し、過去最大の勢力範囲と経済力を持っていた時代で、数多くの記念的な建造物が建設されています。

 新王国時代・第18王朝のトトメス1世の頃にテーベ西側の涸れ谷に初めて王墓が造営されて、それから王家の谷が発展し始め、後の王族達はこの谷に王墓を造営し続けました。後のハトシェプスト女王が建設した彼女自身のための葬祭殿は古代エジプトを代表する建造物の一つです。次に現れるのがトトメス3世で「古代エジプトのナポレオン」と呼ばれた王で、アメンヘテプ3世が統治した時期が第18王朝が最も繁栄した時代になります。彼は空前の規模の建築活動を行ったとされ、テーベのそばに人造湖を作らせてマルカタ王宮と結び、その北にはアメン神殿を建立しています。

 後のアメンヘテプ4世が「アクエンアテン」と呼ばれる王で、この方が「黄金のマスク」で知られるツタンカーメン王の父親になります。アクエンアテンはアテン信仰を追求した方で、彼の時代に宗教改革が行われ、それまで多神教だった宗教をアテンのみを信仰する唯一神信仰へと変革し、アテン神のための新都アケトアテンを建設しました。その次に現れるのが黄金の少年王と呼ばれるツタンカーメン王です。彼は父親のアクエンアテンの行った、アテン神を唯一信仰するという宗教改革を、元の多神教へと戻しています。そしてラムセス2世の時代には古代エジプト史上最大の建築活動が行われ、アブ・シンベル神殿、テーベのラムセス2世葬祭殿などを建立しています。次のラムセス3世が新王国時代での最後の王になり、彼自身の葬祭殿であるマディーナト・ハブ神殿を建設しました。

 プトレマイオス朝は紀元前306年頃からだとされ、新王国時代の終わり紀元前1070年頃からプトレマイオス朝までの間は約700年間になり、その間にエジプト第3中間期、末期王朝時代、グレコ・ローマン時代と三つの王朝時代が入っています。グレコ・ローマン時代を統治したアレキサンダー大王の死後に彼の部下だったプトレマイオスによって時代が進んで行きます。アレクサンドリアに首都が置かれ、ヘレニズム文化の中心地としてアレクサンドリアは地中海屈指の大都市として繁栄を続けました。 その中で女神ハトホルを奉り、デンデラ・ゾディアックや、古代エジプト文明は発電によるランプを発明していたという仮説を呼び起こしている「デンデラ・ライト」などが残されているデンデラ神殿、クヌム神を奉るエスナ神殿、コム・オンボ神殿、そして女神イシスを奉るフィラエ神殿などが建築されています。

 

▶︎「エドフ神殿のヴィジョン」へ続く